レストランチケットは取り入れたほうがいい? お昼休みの強い味方、レストランチケット(昼食補助)について解説!
労務
2/9/20241 分読む


フランスに住む人ならみんな知っているレストランチケット。外食がとても高くつくフランスにおいて、会社が福利厚生の一環として昼食代をおよそ半額補助してくれる、ありがたいシステムです。広く普及しているシステムですが、義務ではないので全ての企業でレストランチケットが支給されているわけではありません。福利厚生の指標として求人情報で第一に確認される部分ではないでしょうか?だからこそ、システムエンジニアやプログラマーなどIT関連の売り手市場では、レストランチケットの有無は欲しい人材を確保したい企業の採用力を左右するポイントにもなりえます。チケットレストランの支給は企業にとって非課税なので、利益を社員に還元し満足度をあげる方法としても効率的です。
チケットレストランの導入を検討している経営者の方に、レストランチケットとはそもそもどういう仕組みなのか、企業にとってどういうメリットがあるのか、どうやって導入するのか、など詳しく見ていきましょう。
チケレストラン、日本人間では略されてチケレス と呼ばれることもありますが、実はこれはEdenred社が提供している食事券の名称。絆創膏をバンドエイドと呼ぶ人がいるのに近いでしょうか。正しくは Titres-restaurant(ティットル・レストラン)。この記事ではわかりやすいようにレストランチケットと呼んでいます。
レストランチケットとは
レストランチケットとは、社員が会社外で食べる昼食代を補助するために、会社が支給する昼食券。月に一回支給されます。以前は紙の食券つづりでしたがペーパーレスがすすみ、今はチャージ式のカードタイプが主流。外食(テイクアウト含む)での会計時に使えるほか、スーパーなどで一部の食料品を買う際にも使えます。いろんなところで使えるとはいえ一日の使用額には限度があり、現在の限度額は一日25ユーロ。コロナで営業に打撃をうけた飲食業界の援助の一環で大幅に引き上げられた25ユーロの限度額は、2024年12月31日まで適用延長されることが決定しています。
上にも書いたように、一般化しているレストランチケットですが支給は義務ではなくあくまでも任意。レストランチケットの代わりに社内で食堂をもうけたり、« panier repas »と呼ばれる特別手当が払われる会社もあります。
レストランチケットの仕組み
企業負担率は自由
企業負担率が50%以上であることが定められていますが、50~60%の間であれば会社負担率はそれぞれの企業の自由です。残り50~40%は各社員の負担となります。
チケットの額も企業の自由
さらに、レストランチケットの額面も決まった金額はなく、いくらのチケットにするかそれぞれの会社が自由に決定します。2022年にフランスで発行されたレストランチケットの平均額は、CNTLのサイトによると8,25€だそう。
企業負担分の社会保険料の免除(上限あり)
昼食手当の企業負担分は、給与のように社会保険料の対象にはなりません。ただし社会保険料が免除される額には上限があります。この上限は2024年1月1日より7,14€に引き上げられました(2023年は6,91€、2022年は6,50€でした)。
上のほうで、レストランチケットの額は各社の自由と書きましたが、実際はどの企業もこの社会保険料が免除される金額におさまるよう昼食券の額面を決めます。なので2024年はチケット一枚当たり14,36€以下で支給される場合がほとんどでしょう。しかし14,36€というと日本円にすると今日のレート(1€=160,43円)で2304円ですから日本だと毎昼ごちそうが食べられる額ですね・・・。
-例-
とある架空の企業SAYACC社が次のようなの内容で今月一日よりレストランチケットを社員に支給することに決めたとします。
チケットの額面・・・9€
会社の負担率・・・60% = チケット一枚当たりの会社負担額5,4€
社員の負担率・・・40% = チケット一枚当たりの社員負担額3,6€
さらにSAYACC社社員Aさんは今月20日働きました。
今月のAさんへのトータル支給額は180€(9€×20日)
今月のAさんの昼食券への会社負担は108€(5,4€×20日)
今月Aさんの給与から差し引かれるのは72€(3,6€×20日)
企業にとってのメリットは?
企業にとってのレストランチケット導入のメリットには、次のような点があげられます。
低コストで福祉厚生を充実化させることができる
カフェスペースやトレーニングルームといった社内施設サービスを整備する、などとなると大変ですが、レストランチケットには初期投資もなく、断然少ない経費で導入できます。
会社の利益をより効率的に社員に還元できる
上の例で社員Aさんは実質108€分の手当をレストランチケットで得ましたが、例えばこれが108€のボーナスであったらどうでしょう?Aさんが同じく実質108€の価値を給与で受け取るためには、会社にとって108€プラス社会保険料がかかってくるので出ていくお金はもっと多くなります。給与をアップすれば給与にかかってくる社会保険料も当然増えますが、上限を超えないレストランチケットには社会保険料が免除されるため、同等の実質的な手取りをより低費用で上乗せすることができます。
従業員の満足度を高め、社員の定着率を高める
上に書いたように簡単なランチであろうととにかく外食が高くつくフランス。昼食は毎日のことですから、物価高な社会的環境と従業員のニーズに昼食補助はしっかりあっていて有用性が高いといえます。給与以外の形で従業員の経済的サポートをすることで社員のモチベーション向上に寄与し、社員の働きやすさを考慮していることを示すことでよりよい信頼関係を築くことも期待できます。
企業の求心力アップ、イメージアップで人材の獲得をたすける
社員の定着率ともつながりますが、優秀な人材の獲得にはレストランチケットの支給も大切な要因となるはず。企業の魅力のひとつとして数えられるでしょう。
どこのサービスを選ぶ?
利用するサービス会社を決めましょう。レストランチケットを発行している会社は多数ありますがCNTRの認可を受けている会社は以下の10社(アルファベット順)。
• BENEFIZ
• BIMPLI (旧APETIZ)
• Glady
• SODEXO PASS FRANCE (サービス名 PASS RESTAURANT)
• OCTOPLUS (サービス名 RESTO FLASH)
• SWILE
• EDENRED FRANCE (サービス名 TICKET RESTAURANT)
• GROUPE UP (サービス名 UpDéjeuner)
• WIISMILE
• WORKLIFE
社員数や予算、サービスやアプリの使い心地なので自分の会社にあうレストランチケット会社を選びましょう。また、地方によってそれぞれのサービスの普及率が違ったりもするので、利用するエリアのより多くのレストランで使えるものを選ぶのも重要だと思います。
給与計算事務所に連絡を忘れずに
サービス会社を選び、あらかじめ決めておいた額面と会社負担率で契約書にサインしたら、すぐに給与計算を担当している事務所に連絡しましょう。レストランチケットの支給を導入すると給与明細に新しい項が加わります。給与計算を担当している事務所が期日内にきちんと対応できるよう、レストランチケットの導入を検討し始め現実味を帯びた時点で給与計算を担当している事務所にその旨伝えておくことが望ましいです。
レストランチケットにまつわる注意事項
全ての社員に公平平等に付与されます。一部の社員のみに支給することはできません。
支給に契約形態は問われません。CDIだけでなく、CDD(期限付き雇用契約)や派遣社員、Alternantや インターン生も対象となります。
ただ、レストランチケットを希望しない人は、受け取らないこともできます。その際は経営者が給与計算事務所にその旨連絡します。
テレワークで働いた日にもレストランチケットは支給されます。
半休の日(午前休でも午後休でも)はレストランチケットは支給されません
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参考サイト
https://www.economie.gouv.fr/entreprises/titres-restaurant#
https://www.cntr.fr/un-employeur/
https://www.urssaf.fr/portail/home/taux-et-baremes/frais-professionnels/les-titres-restaurant.html
https://www.cci.fr/actualites/mettre-en-place-des-titres-restaurant-dans-votre-entreprise
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F21059
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従業員にとってのメリットは?
使用者である社員たちにとってレストランチケットの最大の魅力は、チケット額の50~60%を会社が支払ってくれること。実質半額以下のお得さでランチが食べられるのです。
このようにSAYACC社の社員は、9€×40%=3,6€で額面9€の昼食券を得ることができるのですね。9€-3,6€=5,4€の特典が得られることになります。月に20日働いて20食分のチケットが支給されれば、給料から天引きされる分はありますが、実質5,4€×20=108€が給料のほかに昼食代補助として授与されるのでありがたいですよね。昼食補助は給与と異なり、非課税所得です。
おわりに
会社の福祉厚生を充実させる一つの手として、手軽に導入できて費用対効果のよいレストランチケット。会社の規模や発展ステージにあわせて導入を考えてみてもいいかもしれませんね。
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144 rue Paul Bellamy, CS 12417
44024 Nantes Cedex 1
Contact
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07.44.40.03.52
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