フランスのチップ文化を救え!デジタルチップの導入と利点
デジタル化
4/15/20241 分読む


フランスにおけるサービス業でのチップ文化は変化の兆しを見せています。現金での支払いが姿を消しつつある中、チップの習慣を新たな形で取り戻す方法が生まれています。企業にとってチップ文化を維持する利点や方法を紹介します。
チップ文化の変遷、減少の背景は・・・
かつては、レストランやホテルなどのサービス業で、接客してくれた方に現金で渡したりテーブルに数ユーロの小銭を残していく、というスタイルで行われていたフランスにおけるチップの習慣。しかし近年、チップの割合は減少しており、特にクレジットカードやスマホによる非接触決済の普及によりこの傾向はさらに強まっています。チップを置きたいと思うサービスをお店で受けても、お財布に現金がない、あるいはちょうどいい額の手持ちの現金がない・・・という経験はみなさんにもあるのではないでしょうか。
一方で、フランス社会ではチップに対する意識はまだまだ健在。同じく2021年のCSAの調査では、77%のフランス人がチップを渡すことがあると答えています(「よく渡す」は14%、「時々渡す」は37%、「稀にだけど渡すことがある」は26%)。同調査によるとチップが登場するのはやはりレストランが一番多く、美容院、カフェ・バー、宅配便をうけとったとき、コンサートや観劇の際・・・とリストは続きます。
逆に、チップの支払いを躊躇する理由としては、「サービス料は料金にすでに含まれていると思うから」というものが60%で一番多く、「家計に気を付けているから」が37%で2番目、そして「手持ちの現金がないから」は35%で3番目の理由になっています(CSAの2021年5月の同調査による)。
この3番目の理由からはふたつの重要なことが見てとれますね。ひとつは、フランス人にとってまだまだ「チップ=現金」という構図が根強いということ。そして、チップを渡してもいいと感じる場合も手段がないのでチップを残せない事態が生じていること、です。
チップの意味と重要性
チップはサービス業の従業員にとって重要な収入源であり、顧客からの感謝や評価の印とも言えます。チップをもらうことで仕事を認められたという満足感を得られ、その後のやる気にもつながります。従業員が追加の収入源を得ることができると同時に、企業にとっては従業員のモチベーション向上やそれがサービスに反映されることにより顧客満足度の向上を図ることができます。従業員としても、雇用者としても、チップ文化を維持することには利点が多いのです。
新しいチップ文化を助けるもの
2021年以降、カード支払いで減少しつつあるチップ文化を取り戻す手助けとなる、二つの動きが生まれています。一つ目はチップのデジタル化、もう一つはフランス政府によるデジタルチップ非課税化政策です。
チップのデジタル化とは?
現金支払いが減少する状況で、サービス業界がデジタル化によるチップの受け入れを模索した結果、顧客がカードやスマホなどの非接触決済でチップを残すことができるシステムが開発され、導入され始めています。一般的なカード決済端末(TPE – Terminal de Paiement Electronique)を使用してのチップは、カードでのお会計の際、伝票金額を従来通り支払った後、カード支払い端末にチップの支払いを希望しますか?というメッセージが表示されるのでそれに従ってすすんでいくとチップ代を加えることができる、という流れになります。チップの額は、お店があらかじめ表示される額を何通りか設定しておくこともできるし(1€、2€、5€等)、顧客がチップ額を自分で決定するシステムにすることもできます。
また、デジタルチップの導入はチップの扱いにまつわる業務の効率化にも貢献すると思います。
デジタルチップ非課税化政策とは?
政府もこの動きを支援し、2022年1月1日以降、ホテル、レストラン、カフェバー等、接客業に従事する従業員に対し顧客がデジタル決済により支払うチップは社会保険料から免除する政策を導入しました。新型コロナウイルスにより打撃をうけたホテル・レストラン業界を支援するために設立されたこの特別制度は元々2023年12月31日に終了する予定でしたが、同業界の困難がインフレにより継続しているため1年間延長され、2024年12月31日まで続くことが決定しています。さらに、2024年以降も同措置を恒常化させるかどうか今年10月に話し合いがもたれる予定だそうです。
ただしチップの社会保険料が免除されるには一定の条件を満たす必要があります。
従業員が直接接客していること、
チップが給与の全体の20%未満を占めること、
従業員の給与がSMIC(最低賃金)の1,6倍を超えていないこと
が条件です。
また、チップは顧客が「自発的に」残したもののみが免除の対象となります。お店があらかじめ料金に含めているサービス料はチップとみなされず免除の対象にはなりませんのでご注意を。
さらに、従業員が得たチップは個人所得税にも課税されませんが、金額の申告は求められます。チップとして得た収入も課税所得基準額の計算には入るためです。
いろいろなデジタルチップシステムの導入方法
デジタルチップシステムを導入するにはいくつかの方法があります。
TPE
上にも書いたように、現在いちばん普及しているデジタルチップの支払いシステムです。デジタルチップシステムの導入をお考えの場合、すでにカード決済端末(TPE – Terminal de Paiement Electronique)をお使いだと思います。もし、ご使用中の端末がすでにデジタルチップに対応したモデルである場合は簡単な設定でデジタルチップの扱いを開始できます。もしお使いのデバイスがデジタルチップ対応モデルでない場合は、端末にアプリを連携させることでデジタルチップオプションを機能させることができます。ご利用のカード支払い端末サービス会社に問い合わせてみましょう。
POSレジ
POSレジの種類によっては、デジタルチップの支払いをレジのソフトウェアを介して受け入れることもできます。POSレジのデジタルチップオプションをオンに設定により、収益とチップの配分を簡素化できます。
テーブルでのチップ支払い
さらに、顧客がQRコード経由でテーブルでデジタルチップを支払うという方法もあります。テーブルに小銭を残していくという従来型のチップを思い起こさせますね。顧客はスマートフォンでQRコードをスキャンし、開かれたリンクのオンライン決済ページからチップを残し、金額を入力します。
現在のシステムに合ったソリューションを探してみてください。
SAYACCがお手伝いします
デジタルチップシステムの導入でお困りの際にはSAYACCがお手伝いします。お気軽にご相談ください。
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参考にしたサイト
file:///C:/Users/Sayacc/Downloads/CSA-pour-LYF-Les-Francais-et-les-pourboires.pdf
https://www.lhotellerie-restauration.fr/sos-experts/pourboires-defiscalises#
https://www.lhotellerie-restauration.fr/actualite/comment-passer-au-pourboire-dematerialise#
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